行政書士試験の難易度については、毎年の試験合格率が10%以下と非常に低い数値となっており、難関国家資格の1つとされております。
ただし、本ブログ内の「行政書士試験の合格率が低くなってしまう3つの理由」の記事でも触れておりますが、一概に合格率だけでは試験の難易度は測れないものだと考えております。
では、行政書士の難易度は一体どれくらいなんどでしょうか?
本記事では、合格率以外の部分(といっても多少は絡んできますが)に着目し、行政書士試験の難易度を3つのポイントで解説していきます
ポイント1:資格取得までに必要な勉強時間
試験の難易度を計る場合、資格試験に合格するために必要な勉強時間を比べてみるのが一番手っ取り早い方法ですが、とりあえず行政書士と同カテゴリに位置する法律系資格の合格するために必要な勉強時間、合格率、および想定される難易度を一覧にまとめてみました。
資格名 | 科目別合格制度 | 勉強時間 | 合格率 (2014年度) | 難易度 |
旧司法試験 | なし | 約10,000時間 | ※1.50% | |
司法書士 | なし | 約3,000時間 | 3.77% | |
公認会計士 | あり | 約3,000時間 | 10.10% | |
弁理士 | なし | 約3,000時間 | 6.90% | |
不動産鑑定士 | なし | 約2,000時間 | 11.30% | |
税理士 | あり | 約2,000時間 | 16.80% | |
土地家屋調査士 | なし | 約1,500時間 | 8.82% | |
社会保険労務士 | なし | 約1,000時間 | 9.30% | |
行政書士 | なし | 約800時間 | 8.27% | |
マンション管理士 | なし | 約600時間 | 8.20% | |
宅地建物取引士 | なし | 約300時間 | 17.50% | |
管理業務主任者 | なし | 約250時間 | 21.00% |
※司法試験は平成20年度より新制度となったため平成19年のデータを引用
こうやって見てみると、法律系の国家試験の中では相当難しいという訳ではありませんので、この中では中級レベルとしておりますが、法律を扱う資格は一般的な資格試験に比べて相対的に難易度が高いため、その中での中間くらいの位置をあなどってはいけません。
また、簡単に800時間と書いてますが、1日の勉強時間に換算すると
勉強期間が1年間 ⇒ 1日:2.19時間
勉強期間が半年間 ⇒ 1日:4.38時間
ちなみに、旧司法試験の勉強時間は鬼畜レベルとなってますので、参考程度に。
ポイント2:試験方式に潜む罠
先ほどの表でも載せておりますが、科目合格制度がある試験とない試験ではその合格率に大きな差があります。
これは、シンプルな話、その資格試験が定めている有効期間の間(税理士試験の科目合格は生涯有効)に全科目に合格すればよいので、複数年単位で学習計画を立てることが出来ます。
もちろん、科目ごとの難易度はかなり高くなっておりますが、1~2科目に集中して学習が出来るためそれなりに合格率は高くなる傾向にあります。
ただし、行政書士試験においては法令科目(憲法/民法/商法/行政法/基礎法学)、一般知識科目(「政治・経済・社会/情報通信・個人情報保護/文章理解)があり、細分化すれば計8科目を1回の試験でクリアする必要がありますので、非常に厄介な試験です。
また、法令科目、一般知識科目それぞれで合格基準点が設けられており、試験全体の合格基準点を満たしていたとしてもどちらかの科目で基準未達の場合は不合格となってしまいます。。
■平成26年度 行政書士試験の合格基準点
法令科目 122点以上(満点:244点)
一般知識科目 24点以上(満点: 56点)
総合得点 180点以上(満点:300点)
ポイント3:法律中心の広い学習範囲
行政書士試験の試験科目については、細分化すると計8科目あると先ほど書かさせて頂きましたが、単純に8科目ってかなり多いと思います。。
複数科目のある資格試験を勉強された方ならご理解いただけると思いますが、1から順に最後の科目まで勉強を行って、再度1つ目を読み直すと、
まぁ、ビックリする位ほとんど忘れてます(爆
こういう知識のインプットが肝となる試験に関しては、ひらすら繰り返して記憶の定着を図る必要がありますが、科目数が多いと1つずつのインプットが少なくてもバリエーションが多いだけに非常に気持ちが萎えてしまいます。
ただ、行政書士試験では民法、行政法の占める割合が非常に多く、ある程度科目をまたいで横断的に学習することも出来ますので、キッチリとした学習計画、学習方法で行えばある程度は効率的に試験対策を行うことが出来ます。
あと、かなりの受験生が頭を悩ますのが行政書士試験には記述問題がある点です。
※詳しくは「行政書士試験の合格率が低くなってしまう3つの理由」で書いてますのでそちらを参考に
記述問題に関しては、とにかく問題数をこなし設問に対する答えの導き方に慣れるしかないと言えますので、そういった点においてもキッチリと対策を行う必要があります。
「頂き」は高いがなんとかなる!
行政書士試験の難易度の解説をツラツラと述べさせて頂きましたが、まぁ、合格率は別として、試験を攻略するには学習計画をしっかりと組んだうえで、どうやって知識をビルドアップしていくか、そして問題をこなしまくる数稽古をどれくらい行うか、にかかってくると言えます。
一般的にも行政書士試験はなかなか独学では合格が難しいと言われているのも、こういった部分が起因しているからだと理解出来ます。
非常に難易度が高い試験ではありますが、やってやれないことはありませんので、これから行政書士試験にチャレンジする方は本記事でまとめたポイントを踏まえて頑張ってください!